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6月:テンポ・プリモ

 

 

 

 

何があるわけでもなく、
何も無いわけでもなく。
しかし何故か人は急いで何かをしようとする。

慌てているのではなく、
のんびりしているのでもない。
しかし何故か人は急いで何かをしようとする。

テンポ・プリモ・・・
最初の速さに戻って・・・

 

 

私は心に感じる

 

Sento nel core certo dolore
che la mia pace turbando va.

splende una face che l’alma accende,
se non è amore,amor sarà.

 

Scarlatti / Sento nel core

 

 

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5月:センプレ

 

 

 

 

あちらこちらで桜の花が咲くと
こんなに桜の木があったのかと春がスタートしたのはついこの前。
枯れていたように見えた木々から若葉が芽吹く新緑の今
若葉の中には炎のような山つつじが燃え盛ってきた。

私たちは冬には枯れたかと木々を眺めるが
春になると生命力を感じ様々な花を見て新緑を見る。
自然は黙する期間もじっと命を灯している。
そう常に。

数ヶ月後のクリスマスにはメインとなるモミの木。
他の木々に足並み揃えて新芽がポッ!ポッ!と生えている。
あれほどクリスマスには目がいくのに
今は気にする人がどのくらいいるだろうか。
しかしモミの木も常に成長している。

Sempreとは「常に~」と言う音楽用語。
オペラの稽古場やオーケストラとのリハーサルなどで
指揮者が腕を振り回して
「Sempre!Sempre!Sempre!!」
緊張感、優雅さ、悲壮感ですら持続させよ!との指示。
「Sempre!Sempre!Sempre!!」
一番使う言葉のように思う。

私の最も好きな時期「新緑」。
今年の新緑はそんなことを思い出させてくれた

 

 

歌劇「 愛の妙薬 」より
~ 人知れぬ涙 ~

 

Una furtiva lagrima
negli occhi suoi spuntò:
Quelle festose giovani
invidiar sembrò.
Che più cercando io vo?
M’ama! Sì, m’ama, lo vedo. Lo vedo.
Un solo istante i palpiti
del suo bel cor sentir!
I miei sospir, confondere
per poco a’ suoi sospir!
I palpiti, i palpiti sentir,
confondere i miei coi suoi sospir…
Cielo! Si può morir!
Di più non chiedo, non chiedo.
Ah, cielo! Si può! Si può morir!
Di più non chiedo, non chiedo.
Si può morir! Si può morir d’amor.

 

Donizetti: Opera「 L’Elisir d’amore 」
~ Una Furtiva Lacrima ~

 

 

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4月:リゾルート

 

 

 

 

春の風が吹いたかと思うと雪が舞い
春の花芽がふくらんだと思うと隣では椿が咲いている。

私たちは暖かい春を待ち望み
春が来ると晴れやかな気持ちになる。
あの厳しく冷たい風に顔をしかめたことを忘れてしまう。

小さな小さな梅の花。
夏の暑さも冬の寒さも断固として「私は咲く」と一年を過ごして開花する。
断固とした強い貫きだと感じる。

忘れてしまえる事は強みでもあるが、
冬の厳しさの中で養ったものを忘れてしまうことは残念なことでは無いだろうか・・・。
リゾルート「決然と・断固として」という音楽用語であり通常のイタリア語。
意味だけをとらえると頑なに感じるが全く違う。
きっぱりとした清々しい堂々さを求められているのだ。

小さな小さな梅の花に
大きな大きなことを見せられた。

 

 

祈り

 

Alla mente confusa
Di dubbio e di dolore
Soccorri,o mio Signore,
Col raggio della fé.

Sollevala dal peso
Che la declina al fango:
A te sospiro e piango,
Mi raccomando a te.

Sai che la vita mia
Si strugge appoco appoco,
Come la cera al foco,
Come la neve al sol.

All’anima che anela
Di ricovrarti in braccio
Rompi,Signore,il laccio
Che le impedisce il vol.
Signor,pietà!

 

Tosti / Giusti

 

 

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3月:アンダンテ

 

 

 

 

風が吹くとまだまだ冷たく感じる。
しかし三月という響きに魅せられるのが”春”ということだろう。

暖かそうな陽の光に誘われ外へ出る・・・
数日前よりも誘われる回数が増える。

陽の光の中に花の香りがどこからかしてくる・・・
花の香りはどこからかと数日前よりも少し遠くまで歩を進める。

春の花を見つけると他にはないかと探し始める・・・
冬の草や木々の中にチラリと春色を見つけると歩みを早めて行く。

しかし今日は冷たい風が吹いている・・・
軽やかになったはずの歩みが少々重くゆっくりになる。

音楽用語では「歩くような速さで」とあるアンダンテ。
一人一人の歩く速さは様々であり戸惑いを感じる表記である。
そして更に”春の歩み”は日々違う。

あらためて音楽とは”感じるブレスで変わるもの”と学んだ今春。
あらためて”学び”とはあたりまえの中にあるものと学んだ今春。
あらためて一つ一つが貴重なものに感じる今春。

今の私のアンダンテは、
喜び溢れた少々早めのアンダンテのようである。

 

 

優雅な月よ
~ 3つのアリエッタ ~

 

Vaga luna,che inargenti
queste rive e questi fiori
ed inspiri agli elementi
il linguaggio dell’amor;

testimonio or sei tu sola
del mio fervido desir,
ed a lei che m’innamora
conta i palpiti e i sospir.

Dille pur che lontananza
il mio duol non puo lenir,
che se nutro una speranza,
ella e sol nell’avvenir.

Dille pur che giorno e sera
conto l’ore del dolor,
che una speme lusinghiera
mi conforta nell’amor.

 

Vaga luna,che inargenti ~ Tre Ariette ~
Bellini

 

 

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1月:モデラート

 

 

 

 

あけましておめでとうございます。

新年になりますと誰しもが希望を抱くと思う。
よし、やるぞ!
さぁ、頑張るぞ!
いつもよりも何かが出来る気がするからだろうか。

大自然の山に雪が降り風が吹き、
空気は感覚を失わすほどの冷ややかさ。
そう、この空気の中では目が見開かれる。
しかし頭の回転は止まってしまう。

何事にも勢いで行かず、控えめに行ってはどうか。
強すぎず、弱すぎず・・・
速すぎず、遅すぎず・・・
モデラート・・・

新年の空気は、
自分自身における様々な面の節度を見直す時なのかと感じた。

 

 

バッハ:マタイ受難曲 BWV.244
~ 憐れみたまえ、我が神よ ~

 

Erbarme dich, mein Gott,
um meiner Zähren willen !
Schaue hier,
Herz und Auge weint vor dir bitterlich.

 

J. S. Bach / Matthäus -Passion BWV 244
Nr.39 Arie – Alt

 

 

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12月:トゥッティ

 

 

 

 

いまにも雪が降り出しそうな灰色の空、
しかし晴れの日も多い冬の空。
これから来る冬を感じる冷たい空気。
これから来る冬を感じるのは肌だけではなく、目からも感じる。

木々はすっかり葉を落とし、まるで命尽きたかのようなたたずまい。
いや違う、もう次の生命を準備し始めている。
様々な野鳥や鹿たちは雪が降り始めたら「我先に」と食するだろう。
晴れの日は太陽を浴びようと野鳥は羽を広げ、鹿は体を伸ばす。

各々が底力を出し、
各々が力を合わせ、
各々が小さな事に感謝をし、
皆で乗り越える姿が美しく力強く感じる。

トゥッティ・・・皆で!全員で!という音楽用語。
指揮者の「トゥッティ!」の一声で舞台に関わる全員がハッとする瞬間。
リサイタルではソリストの「トゥッティ!」という心持ちが舞台を暖かくする。
・・・さぁ!リサイタルよ!
トゥッティ!トゥッティ!トゥッティ!!!

 

 

歌劇「フェドーラ」より
~ 愛さずにはいられないこの想い ~

 

Amor ti vieta di non amar…
La man tua lieve, che mi respinge,
cerca la stretta della mia man;
la tua pupilla esprime: T’amo!,,
se il labbro dice: Non t’amero!

 

U. Giordano: Opera「Fedora」
~ Amor ti vieta ~

 

 

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11月:ルバート

 

 


 

 

少し前から秋はスタートしているが一段階上がったように感じる。
青空の下に広がる山、
河川敷の草木、
道の両側にそびえ立つ木々、
どこを見ても黄金の秋色が身に飛び込む。

モミジ、クリ、朴の木、サクラ、シラカンバ・・・
様々な木々がそれぞれに秋色を装う。
ニッコウアザミ、ワレモコウ、シュウカイドウ、コスモス・・・
秋の野草が差し色で更に秋を深める。

木、草、花・・・
それぞれはそれぞれに自由に表現しているだけであり、
周りとの息を合わせようとはしていない。
しかし、ピタリと「秋」を表現している。

ルバート・・・
自由なテンポで演奏して良いと勘違いしている人がいるが全く違う。
曲全体の基本テンポは変化してはならず、
旋律のテンポを揺らすことであり、演奏者の感性に任されている。
つまりはルバート出来る奏者とは音楽性がある奏者ということである。

様々な秋を各々に表現している大自然を見ていると
感性や音楽性は考えて出来るものではないと再確認させられる。
・・・ルバート、溢れ出るものである。

 

 

カタリ・カタリ

 

Catarì,Catarì,
pecche’ me dice sti parole amare?
pecche’ me parle,e ‘o core me turmiente,
Catarì?
Nun te scurda’ ca t’aggio dato ‘o core,
Catarì,nun te scurda’!
Catarì,Catarì,
che vene a dicere
stu parla’ ca me da spaseme?
Tu nun ce pienze a stu dulore mio
tu nun ce pienze,tu nun te ne cure.

Core,core ‘ngrato,
t’haie pigliato ‘a vita mia,
tutt’e’ passato
e nun ce pienze cchiu’!

Catarì,Catarì
tu nun o saie ca ‘nfino int”a na chiesa
io so’ trasuto e aggio priato a Dio,
Catarì
e ll’aggio ditto pure a ‘o cunfessore
I’ sto’ a suffrì pe chella lla’!
Sto a suffrì,sto a suffrì
nun se po credere
sto’ a suffrì tutte li strazie
e ‘o cunfessore ch’e’ persona santa
m’ha ditto: figlio mio,lassala sta’,lassala sta’!

Core,core ‘ngrato,
t’haie pigliato ‘a vita mia,
tutt’e’ passato
e nun ce pienze cchiu’!

 

“Core ‘ngrato”
Salvatore Cardillo

 

 

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10月:パウゼ

 

 

 

 

今夜の満月は光り輝いている。
数日後の月は何かを失ったかのように細くなっている。
更に数日後には新月で真っ暗な夜空となる。
しかし私たちは月が必ず満月を迎えることを知っているので待つ・・・。

山から霧が立ち込み、今まで見えていたものが見えなくなる。
日中であろうと夜であろうと背筋が固まるような不安に包まれる。
目を見開くが見えるはずもない。
しかし私たちは霧が必ずなくなるとわかっているので待つ・・・。

美しい花を咲かせた木々から花も落ち、葉だけが残っている。
その様を見るだけでは美しい花が思い起こせない。
冬には葉も落ち、枯れ木のようになる。
しかし私たちは木が必ず芽吹くことをわかっているので待つ・・・。

なぜ人は”待てる”のに待てなく、待たなくなってしまっているのか。
美しさや輝きだけを自然から受けるのではなく、
時間の流れから受ける精神の成長をも感じ感謝していきたい。

一曲の中で音の無いパウゼ。
音楽の中で最も音楽があり、
音楽性を必要とされるものが「パウゼ」と私は考えている。
・・・さらに私は次の演奏のパウゼを成長させてもらえた。

 

 

おお死よ、お前を思い出すのはなんとつらいことか
~4つの厳粛な歌 ~

 

O Tod,wie bitter bist du,
Wenn an dich gedenket ein Mensch,
Der gute Tage und genug hat
Und ohne Sorge lebet;
Und dem es wohl geht in allen Dingen
Und noch wohl essen mag!
O Tod,wie bitter bist du.

O Tod,wie wohl tust du dem Dürftigen,
Der da schwach und alt ist,
Der in allen Sorgen steckt,
Und nichts Bessers zu hoffen,
Noch zu erwarten hat!
O Tod,wie wohl tust du!

 

”O Tod,wie bitter bist du ”  Op.121-3  
~ Vier ernste Gesänge ~
Johannes Brahms

 

 

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9月:ブレス

 

 

 

 

暑さが和らぎ、次の季節への移り変わり時期となりました。
感覚とはおもしろいもので、
風一つ、光一つにしても人様々の感覚違いがあります。
心地よい風か、肌寒い風か・・・
温かい光か、物悲しい光か・・・
しかし風は、光は、そんなことは何も考えていません。
ただ吹く・・・
ただ光る・・・それだけです。

野に咲く一輪のお花を見て、
心強く感じるも、淋しげに見えるも、
こちらの心持ちによって変わります。
そう、今日と明日では違って見えたりもします。
野に咲く一輪のお花は何も変わっていないのに・・・。

そんなたわいもない事が頭を過ぎる・・・
それがこの時期の贅沢な時間なのだと感じます。
それをも感じるか、感じられないか。
私は前者でありたいと・・・深く、深く、深呼吸一つ。

そして、この深呼吸が次の演奏のブレスとなる。

 

 

歌劇「トスカ」より
~ 歌に生き、恋に生き ~

 

issi d’ arte, Vissi d’ amore
Vissi d’ arte, vissi d’ amore,
non feci mai male ad anima viva!
Con man furtiva
quante miserie conobbi, aiutai…
Sempre con fe’ sincera
la mia preghiera ai santi tabernacolo salì,
sempre con fe’ sincera
diedi, fiori agli altar.
Nell’ ora del dolore
perchè, perchè, Signore,
perchè me ne rimuneri così?
Diedi gioielli della Madonna al manto,
e diedi il canto agli astri, al ciel,
che ne ridean più belli.
Nell’ ora del dolor,
perchè, perchè, Signor,
perchè me ne rimuneri così?

 

Giacomo Puccini : Tosca, Act II ” Vissi d’ arte, Vissi d’ amore“ (Tosca )

 

 

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8月:夏に開くアルバム

 

 

 

 

夏の暑い日差しの中にふと風が通りますと、
心に何かが通る気がします。
その風が運んできたものはなんでしょうか。

私の頭の中には沖縄の歌が流れます。
芭蕉布、てぃんさぐぬ花、童神(わらびがみ)~天の子守唄~、
涙そうそう、花、島唄、三線(さんしん)の花・・・
沖縄の音階は「ラ抜き」と言われますが、独特な音階です。

ハイビスカスのお花が似合う暑さの中、
少々油っこいお料理と泡盛を歌いながら笑い楽しむ。
なぜか笑いが絶えないが、何か寂しさも感じる。
沖縄は明るいイメージがありながらも、沖縄の歌には物悲しさがある。

歌の歌詞には作詞者の背景がありますが、
自分の背景に置き換えてみてはいかがでしょう。
涙そうそう。
亡くなった方だけではなく、最近は会えていない人、古い友人・・・
身近にいる人との一昔前・・・
心の中にあるアルバムを広げてみる。
涙そうそうしながらも、微笑んでいる自分に気がつきます。

 

 

涙そうそう

作詞:森山良子
作曲:BIGIN

 

古いアルバムめくり
ありがとうってつぶやいた
いつもいつも胸の中
励ましてくれる人よ
晴れ渡る日も 雨の日も
浮かぶあの笑顔
想い出遠くあせても
おもかげ探して
よみがえる日は 涙そうそう

一番星に祈る
それが私のくせになり
夕暮れに見上げる空
心いっぱいあなた探す
悲しみにも 喜びにも
おもうあの笑顔
あなたの場所から私が
見えたら きっといつか
会えると信じ 生きてゆく

晴れ渡る日も 雨の日も
浮かぶあの笑顔
想い出遠くあせても
さみしくて 恋しくて
君への想い 涙そうそう
会いたくて 会いたくて
君への想い 涙そうそう

 

 

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