10月:パウゼ

 

 

 

 

今夜の満月は光り輝いている。
数日後の月は何かを失ったかのように細くなっている。
更に数日後には新月で真っ暗な夜空となる。
しかし私たちは月が必ず満月を迎えることを知っているので待つ・・・。

山から霧が立ち込み、今まで見えていたものが見えなくなる。
日中であろうと夜であろうと背筋が固まるような不安に包まれる。
目を見開くが見えるはずもない。
しかし私たちは霧が必ずなくなるとわかっているので待つ・・・。

美しい花を咲かせた木々から花も落ち、葉だけが残っている。
その様を見るだけでは美しい花が思い起こせない。
冬には葉も落ち、枯れ木のようになる。
しかし私たちは木が必ず芽吹くことをわかっているので待つ・・・。

なぜ人は”待てる”のに待てなく、待たなくなってしまっているのか。
美しさや輝きだけを自然から受けるのではなく、
時間の流れから受ける精神の成長をも感じ感謝していきたい。

一曲の中で音の無いパウゼ。
音楽の中で最も音楽があり、
音楽性を必要とされるものが「パウゼ」と私は考えている。
・・・さらに私は次の演奏のパウゼを成長させてもらえた。

 

 

おお死よ、お前を思い出すのはなんとつらいことか
~4つの厳粛な歌 ~

 

O Tod,wie bitter bist du,
Wenn an dich gedenket ein Mensch,
Der gute Tage und genug hat
Und ohne Sorge lebet;
Und dem es wohl geht in allen Dingen
Und noch wohl essen mag!
O Tod,wie bitter bist du.

O Tod,wie wohl tust du dem Dürftigen,
Der da schwach und alt ist,
Der in allen Sorgen steckt,
Und nichts Bessers zu hoffen,
Noch zu erwarten hat!
O Tod,wie wohl tust du!

 

”O Tod,wie bitter bist du ”  Op.121-3  
~ Vier ernste Gesänge ~
Johannes Brahms

 

 

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